緑黄日記

水野らばの日記

北海道旅行記 〜茹でガエル理論編〜

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12月の初旬から1週間ほど旅に出ていた。僕もギリギリではあるが会社員をやっている身だ。有給休暇を取得し、北海道にグランドエスケープした。お陰様で有給休暇は残りあと2日である。これは部署内で一番多く休んでいるらしい。上司が「新入社員にこれほどまで休まれるともう逆に気分がいい」と言っていた。よくわからないが褒められているのだろう。これは良いことをしたものだ。

 

北海道旅行の目的は内陸の街、旭川にいる友人を訪ね、彼の車で冬の北海道各地を回ろうというものだ。

 

北海道旅行1日目である。神戸空港を出発し、新千歳空港に無事着陸した。そこから電車で札幌に移動する。札幌駅に着き、外に出てみた。僕はそこで爆笑してしまった。

 

寒すぎる。

 

冗談みたいな寒さなのだ。もしかしたら冗談なのかもしれない。周囲を見渡してみる。人々は平然と寒空の下を歩いていた。それも、決して過度に厚着しているわけではなく、大阪に住む人々のようなコートやマフラーを身につけている。僕の想像上の北海道の人々はエスキモーのような格好をしていたので驚いた。そして、その中でもとりわけ目についたのは制服姿の女子高生である。なんと足を出している。「嘘つけよ」と思った。

 

『茹でガエル理論』なるものをご存知だろうか。主にビジネスシーンで使われる例えで、『2匹のカエルを用意し、一方は熱湯、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出し、生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する。このような実験から、人間は環境適応能力を持つがゆえに、漸次的な変化は万一それが致命的なものであっても、受け入れてしまう傾向が見られる』というものである。もしかしたら、北海道の人々は緩やかに昇温する水に入ったカエルなのではないか。もしかしたら、この寒さを正しく認識できていないのではないかと思った。道ゆく人に「もしもし、すみません。寒いのきてますよ、茹でガエルになりますよ」と話しかけそうになった。

 

札幌では当初の予定通り、夜景を見ることにした。

電車で札幌の端、藻岩山まで移動した。藻岩山は、北海道札幌市の中心部から南西約5キロメートルに位置する標高531メートルの山である。藻岩山には山頂の展望台までロープウェイが通っており、その展望台から見る札幌の街は壮観であるらしい。

 

ロープウェイを待っている間、1枚のポスターが目に止まった。そこには札幌の煌びやかな夜景と共に、『日本新三大夜景』の文字が空に浮かぶ。はてな、と僕は思った。『日本三大夜景』といえば、函館、神戸、長崎である。それとは違うのか。気になったため、文明の利器であるスマホで検索をかける。グーグルによれば、『新日本三大夜景』とは、社団法人が主催するコンクールで、2015年に全国の夜景鑑賞士による投票で上位三都市を認定したものであるらしい。加えて、『日本新三大夜景』なるものも存在し、これは別の団体が認定したものであるが、奈良、北九州、山梨であるらしい。

 

もう、なにがなんだかである。まず、なんだ、その夜景鑑賞士というのは。そして何を指標に競っているのか。光度か広さか規模か。アメリカの自称映画評論家のブロガーが個人的に選ぶ世界で最も美しい顔のランキングや、アイルランドのビール会社が世界一を認定する記録、ベルギーの民間会社が主催する飲食品のコンクールなどと同じような香ばしい匂いがする。

 

と、僕の性格の悪さが出てしまったのでこの辺で一旦やめることにする。山頂の展望台から見える札幌の夜景は、僕の腐りかけの性根とは裏腹にめちゃくちゃに綺麗であった。

 

 

後編『北海道旅行記 〜大人ってすごい編〜』に続きます。