緑黄日記

水野らばの日記

よくaikoを聴いているので乙女心はだいたいわかる

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ぶったりしてごめんね。愛しくて仕方なかった。

 

の書き出しでこの記事を始めたものの、つなぎ方がわからないのでこういったメタ的なことになる。大好きな曲について書こうと思う。aikoの『えりあし』である。

 


aiko- 『えりあし』music video

 

『えりあし』は、2003年11月6日発売。アルバム「暁のラブレター」収録のバラードソングである。この曲は、あなたを好きなこの気持ちはずっと変わらず持っているよという歌詞、コードに沿わないふらふらと歩く乙女のようなメロディライン、ひとつの季節の終わりを感じさせる切ないコード進行、どれをとっても「aikoだ!」という感じである。「aikoだ!これaikoだよ!」と吹聴して回りたいくらいである。

 

僕が特に大好きなのは歌詞である。この曲はこの記事の書き出しにもあるように『ぶったりしてごめんね。愛しくて仕方なかった』から始まる。もうここから最高である。国家の歌いだしも『ぶったりしてごめんね。愛しくて仕方なかった』になってしかるべきだ。

この歌詞を耳にした当時高校生の僕は、女の子は愛しくて仕方なくぶったりすることがあるのだと知った。乙女心とはそういうものなのだと。今後の人生で、もしも女の子にぶたれることがあったのなら、それは愛しくて仕方がなく及んだ行為であることだ。その時は精一杯の愛で、力強く、そして優しく包んであげようと思った。男子高校生なのでキモいのはご容赦いただきたい。

 

女の子にぶたれること、それは案外早くやってきた。

大学1年生の秋、僕がまだRAGE BLUE以外は服ではないと思っていたころである。僕は京都大学の学園祭に赴いた。地元の友人がイベントをやるというので観に行ったのだ。秋風が立つ学園内は。学生らが歩き回ったり、走り回ったり、忙しい雰囲気を漂わせていた。グラウンドに続くは模擬店、模擬店また模擬店。味や衛生面の解像度を下げないと食べられないでお馴染みの模擬店である。また、特設されたステージ上では歌って踊れる学生たちが本懐を見せている。いかにも大学の学園祭である。『いか学』だ。

友人のイベントまで時間があったので、僕は学園祭でうかれる構内を散策することにした。自作ロボットや小説の同人誌の展示、自主映画の上映、興味を惹かれるものがたくさんある。そんな中、僕はひとりの女の子に出会った。黒髮を肩と目の上で切り揃え、どこか幼さを感じる。はにかむその笑顔が素敵だ。彼女は『10円でビンタします』と書かれた段ボールを首から下げていた。前言撤回、奇怪な笑顔である。何でも『サークルクラッシュ同好会』の企画らしい。彼女曰く『サークルクラッシュ同好会』は、恋愛関係のもつれによって起こるサークルの関係性の崩壊を研究しているサークルらしい。追加、奇怪でやばい笑顔だ。折角なので僕は10円を彼女に払った。

 

「ちょっと、その女誰よ!!!」

バシッ!!!

乾いた音が響く。

「……ごめんね、ぶったりして」

彼女は悲しそうに言った。2人を沈黙が包む。その沈黙を破るように僕は言った。

「ありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました」

 

監督脚本は無論のこと僕である。新しい扉が開きかけたので全力で閉じた。