緑黄日記

水野らばの日記

滑り止めで自動車免許更新講習ドラマに受かった世にも奇妙な物語

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自動車免許の更新を完全に忘れていた。

現在、僕の住まいは大阪だが、本籍地は島根県である。あの、過疎が雪だるま式に加速している島根県である。県民を絶滅危惧種として保護することが法律で定められているあの島根県である。

免許の更新のために一度島根に行く必要がある。しかし、4月から新社会人となるため、4月以降の予定は基本的に未定だ。いつ島根県に行けるかわからない。そういうことであれば、3月中に行ってしまおうということで、免許更新のために大阪から島根まで日帰りで行くことにした。恐らく、人類で初めて大阪から日帰りで島根に行く人間になるだろう。申請すればギネスにも載る。

 

大阪から高速バスで島根に行き、電車を乗り継いで免許センターに行った。免許センターに着いた時、僕は失態を演じていることに気が付いた。めちゃくちゃふざけた柄のパーカーを着ていたのだ。しまった、このふざけた柄のパーカーで免許証の写真を撮らなければならない。恥ずかしい。身分を証明するために免許証を出したくない。『僕は僕だ!それ以上でもそれ以下でもない!僕の存在を魂で感じ取ってくれよ!』とわめいて乗り切ろうと思う。

 

手続きや視力検査、写真撮影等を終え、教室で講習を受けた。その講習の最後には動画を見た。

 

よく晴れた日中、カップルがドライブデートを楽しんでいると、カーステレオから低い声で語りかけられる。どことなく芝居がかった口調だ。周りを注意しながら運転しろということらしい。運転する彼女は「ラジオCMでしょ」と一笑に付す。すると突然、物陰から自動車衝突実験に使われるマネキンを模したキャラクターが飛び出してくる。彼女はあわててブレーキを踏むが間に合わない。衝突する間際、マネキンが彼女の方を向いて、カーステレオから聞こえた声と同じ低い声で言う。「だから気をつけてと言ったでしょ。」

 

『世にも奇妙な物語』じゃんと僕は思った。しかも薄めの、薄めの『世にも奇妙な物語』だ。

「原案担当者が3日徹夜した後に考え出したやつ」「生まれたての世にも奇妙な物語」「滑り止めで自動車免許更新講習ドラマに受かった」「コロコロ読者向け」「仕事ができなくてここまで左遷されてきた世にも奇妙な物語」「3ページくらい破られた後の脚本」

というツッコミを心の中でした。

 

こんなことを考えていたら、講習が終わった。教室を出て、窓口に行くと新しい免許証がもらえた。そこにはふざけた柄のパーカーを着た僕が映っていた。