緑黄日記

水野らばの日記

車で事故を起こすと小学生に襲われる

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車で事故を起こした。

 

といっても些細なものである。実家の駐車場の前、幅80cmくらいの用水路にタイヤを落とした。怪我人もいないし、何も壊してない。車体の損傷も修理に行くほどでもない。場所も田舎の人通りの少ない住宅街。些細な事故といえる。

 

ただ、見た目は奇妙でインパクトがある。車体は道路に沿って流れる用水路に対して綺麗に垂直。車の前輪両方を完璧に落とし切り、タイヤは宙に浮いている。バンパーは用水路の向こう岸に達し、バンパーの底面と中央の底面とで橋を渡すように車体を支えている。運転席のドアを開けると足元は完全に水であった。

 

パッと見てどういう経緯でこのような状態になったかわからない奇妙さがあり、もう動けないというのが一目瞭然なインパクトもある。映(ば)えてる。芸術点は大いに期待できる出来となった。また、ここは僕が幼少の頃に三輪車で幾度も落ちた用水路である。三輪車で落ちた20年後に自動車で落ちるという「伏線と回収」、ここも評価に値する点だろう。個人的には用水路に大人になった姿を見せることができた満足感もある。

 

保険料でお抱えたカーレスキューを電話で呼んで、動けなくなった愛車の側に立ち、口を開けて待つ。

ここで思わぬ敵にエンカウントした。下校中の小学生だ。彼らは僕と愛車に猛然と襲い掛かる。

 

「やばい事故してるー!」「すげー!!!これどうなってんの?」

 

やめてくれ。めちゃくちゃ恥ずかしい。やめてくれ。

 

「普通に走っててこんなんなる?」

 

なる。恥ずかしいから帰ってくれ。

 

「多分、駐車する時に勢い余ったんだよ」

 

正解だ。恥ずかしい。帰ってくれ。

 

「けんちゃーんすごいものがあるよ!!!」

 

仲間を呼ぶな。帰れ

 

「あんまり見たら悪いって。帰ろう」

 

憐れむな。小学生は純粋におもしろがれ。

 

小学生の集団は黙秘権を行使する僕と前にも後ろにも進めなくなった愛車の前でわいわいがやがやした。とんだ辱めである。彼らは無垢を笠に着て、僕の自尊心をどんどん切り刻む。強火で炒める。皿に盛りつける。そして嵐のように去っていった。僕の自尊心は美味しそうな羞恥心に調理されていた。

 

その後、カーレスキューにカーをレスキューしてもらい事なきを得た。車や用水路、僕の体、お財布は無事だが、心が無事でない。恥ずかしい。多分、たまにベッドで思い出し、枕に顔うずめて「ああああああああ」となるやつだ。