緑黄日記

水野らばの日記

日常エッセイ

お金を渡す妖怪になる

「髪型を変えました」とポートレートをSNSにアップする紫色ウルフボブカットの女性、私とカラオケに行ってくれる慈悲深い友人たち、手鏡で前髪を確認してから男子高校生に話しかける女子高校生、私は彼女らに対して「お金をあげたいな~」という欲求を抱く。…

職務経歴書に『ジゴロ』と書く

異国への移住を検討している。 私には、南方の異国に居を構える友人がいる。時折、この友人から生活の便りが届く。照りつける日差し、青い海、青い空、エキゾチックな街並み、低予算で美味しい料理、居住しているコンドミニアムに併設されたジムとプール、道…

プロポーズ専門学校

「初めて出会ったとき、直感的に"この人と結婚するんだろうな"と思ったんだよ」 結婚をした古い友人がそんなことを言っていた。 所謂『運命を感じた』というやつだ。初対面の人間に対して、直感的にビビッとくる。自身と相手の行く末をまるで見てきたかの様…

aikoなら理解できる

夜、私はマックに居た。 私は何のドラマも起こせなかった平々凡々な日をマックで挽回しようとするきらいがある。まあ、安い企みはいつも失敗に終わり、ただただ『マックで夕ご飯を食べた人』になるのが関の山だが。「人生一度きりだし、マックのアルバイトに…

走馬灯編集サミット

素敵な光景に出会すと「これを死ぬ間際の走馬灯に入れたいな」と思う。 例えば、私が勤務する学校での出来事である。放課後、私が教室のドアを開けると女子生徒数人がきゃっきゃしている。その中心に比較的控えめな性格で普段は化粧っ気など全くない女子生徒…

話の通じない人間が着てそうな服

よく古着屋に行く。 1点ものの個性的なファッションがしたいだとか、宝探し感覚とか、そういった小洒落た理由ではない。単に好みの服が古着屋に置いてあることが多いからである。あとは、『「古着屋さんに行くのが趣味だ」と言うとかっこいい』という政治的…

世界はそのうち星野源で満たされる

星野源の楽曲に『創造』がある。 www.youtube.com これは彼の最新曲であり、任天堂のゲーム『スーパーマリオブラザーズ』の35周年テーマソングとして制作されたものである。メロディの中に様々なゲーム音を混ぜながらも、トラックメーカー星野源としてのポッ…

行かない旅行に行きたい

旅行に行きたい。 旅行が好きだ。旅行は、手狭な日常の外側へと物理的にも精神的にも飛び出す行為である。日々に忙殺され、くすんでしまった魂を洗ってくれる。理不尽と不条理に満ちた仕事場でパソコンと格闘している時など、生活を構える京都盆地からひょい…

サボテンを育てる青年

新緑萌ゆる昨年の5月、私は花屋の店先にしゃがみこみ、雑然と陳列されたサボテンを眺めていた。 先の春に大阪のコンクリートジャングルを抜け出し、京都に根城を構えた。1Kの安アパートであるが、存外気に入っている。安アパートから安アパートへの家渡であ…

過去の自分を名推理で追い詰める

先日、根城である安アパートの一室で僕は慌てていた。 新幹線の発車時刻が迫っている。もう家を出ないと間に合わない。しかし、僕は家を出ることが出来ないでいた。何故か。家の鍵がないのである。いつもは玄関横の洗濯機に取り付けたマグネットフックに鍵を…

ドジっ子メイドになるしかない

なんたる失態だ。僕は自室のドアの前で途方に暮れていた。 先日、カフェでパフェを頬張ってから、ほくほく顔で我が根城であるアパートに帰った。起居する部屋のドアの前に立ち、ポケットから鍵を取り出して鍵穴に挿そうとした瞬間、ドアポストに郵便物が挟ま…

「片付け術」を披露したい

先日、職場に置いてあるテレビを見ていると、「片付け術」なるものが紹介されていた。番組は情報バラエティであるらしく、ある「片付けられない人」のご家庭に「片付けのプロ」と名乗る人物がお邪魔し、収納棚の作り方や、空間の活用方法、ものの取捨選択な…

教育実習を振り返る

いつもどおり、いたいけな少年少女たちに科学を説く。しかし、普段と異なる点がひとつだけある。僕の正面、教室の後ろに教育実習生が立っているのだ。彼女は真剣な眼差しで僕と僕の書いた黒板を見つめ、何やらいそいそとノートに書き込んでいる。「僕の授業…

お料理対決をしたい

夏休みの昼下がり、僕は冷房の効いた6畳の部屋でグダグダしていた。 ベッドに寝っ転がって、可愛い女の子が朝食を作るだけの動画を見る。ああ、可愛いくて万人に愛される背の低い女の子になりたい。背の低いミステリアスな美少女たる僕の笑顔を取り戻すため…

ヒヨコとペンギンのワイシャツ

夏の初めに半袖のワイシャツを買った。 僕は数年前まで「半袖ワイシャツを丁度良く着れる季節なんてない。半袖ワイシャツを着ているやつは体の温度を司る機能が終わっている」という偏見を後生大事に抱えていた。今では幾分マシになったが、僕は自意識がアマ…

夏の覇者になりたい

梅雨が明けた。 京都の空を長きにわたって覆っていた梅雨雲はようやく逃げ去り、透き通るような青みを帯びた空には夏の権化とも言うべき入道雲が立ち昇る。湿気にくるりんと丸まっていた前髪も今では「良い感じですヨ!」と歓びの声を挙げている。タイミング…

10万円の使い道

10万円が手に入った。 言うまでもなく、特別定額給付金である。世情に当てられた家計への援助という名目で、政府からお金が還付されたのだ。先日、申請していた給付金が口座へと振り込まれた。先日、7月の中頃に。僕の住む京都市において、市民の口座にお金…

学生気分が抜けていないので残業をしている

先春、新卒で入った小さな会社を辞め、学校の先生となった。現在、働いて4ヶ月目になる。 会社員から学校の先生へ転身をしたわけだが、これは学校の先生になるのが夢だったとか、子供が好きだとか、教育界、ひいては日本を変えたいとか、そういった崇高な理…

うっかり海に行きたい

教室には気怠い空気が漂っている。 天井に設置されている年季の入ったエアコンはハネをパタパタと上下に振り、ギーギーと小さく鳴いている。一生懸命に冷気を届けようとしているが、この暑さの中では心許ない。シャーペンを持つ手にはうっすらと汗が滲み、ノ…

25を過ぎたら死ぬしかない

もうすぐ誕生日を迎える。 25歳になるのだ。もうこの世に生を受けてから四半世紀にもなる。小さきお子様時代は誕生日といえば世界の主人公になったような気がしていた。しかし、この年になると、誕生日はもはや嬉しいものではない。1年間という期間を確認す…

大人だから一度くらいタバコを吸ってみたくなって

コンビニでタバコを買った。 僕は当ブログ『緑黄日記』とは別に『毎日!緑黄日記』という日記を毎日書いて公開をしている。日々の行動の記録や所感、妄想を日記という形で書いているのだ。今更であるが、なんなんだ、このネーミングは。感嘆符が絶妙にダサい…

学校の先生になりました

学校の先生になった。先生は大変である。これから生徒に会って、保護者に会って、授業をしてと、これまた大変な日々が始まるであろう。頑張らないためにそこそこ頑張ろうと思う。 学校の先生になったからにはやりたいことがある。 「物語中の学校あるあるを…

都会的な恋愛がしたい

京都の朝は寒い。 京都に移住した。6年前、大学進学を機に用水路のザリガニを採る手を止めて、島根から大阪に引っ越した。そしてこの度、転職をして京都に移住したのだ。東へ東へと向かっている。じわじわと東京に近づいていく。僕が崇拝する池田エライザさ…

シャングリラ をこじらせる

机に突っ伏してチャットモンチーを聞く。通常回である。 チャットモンチーの名曲のひとつに『シャングリラ』がある。アニメ『働きマン』のエンディングテーマだったためご存知の方も多いのではないだろうか。僕が新入社員の頃、「頑張ります!」という意味を…

思い出せない幸せになりたい

先日、Twitterで仲良くさせていただいている方にある短歌の歌集を勧められた。 俵万智さんの歌集『かぜのてのひら』である。僕の「俵万智さんなんかいいよね〜ぐへへ」という阿保丸出しツイートに対してリプライをくれたのである。嬉しいかぎりだ。 僕は俵万…

夏目漱石を恨む

コンビニを出る。3月となったのにまだまだ寒い。 見上げると、東の空に月が輝いていた。コンクリートジャングル大阪がその光量の多さを遺憾無く発揮しているが、それにも負けず月は綺麗である。調べると、もうすぐ満月であるらしい。月が綺麗だと遠回りして…

明日にでも女の子になれる

「こんにちは。ごめんください。あなたは今から妙齢の女の子になってもらいます。大変でしょうけど頑張ってね」 突然、上位存在的存在が目の前に現れ、あなたにこう告げる。そしてあなたに抗弁を許さぬままホワワワンと去っていく。日頃、何の危機感もなく、…

aikoになった日

先日、aikoがストリーミング配信、並びにYouTubeでのミュージックビデオの配信をスタートさせた。これで僕の昔から使っているiPodはRADWIMPSとHamp Backを聴くためだけの機械となってしまった。最近もYUKIがこの地を去ったばかりである。こうして誰もいなく…

チャットモンチーと女子高生

大阪は梅田、ビックマン前である。大阪民にはお馴染みの待ち合わせスポットだ。東京でいうハチ公前というとイメージできるであろうか。僕は待ち合わせに完全に遅刻して来る知人を待っていた。久しぶりに梅田に来たがやはり人が多い。こんなに人類が増えてし…

お終いの人の趣味

日曜日のお昼、パソコンを開く。 賃貸物件情報サイトを開いてお部屋探しをする。現在お付き合いしている彼女と同棲することにしたのだ。僕らは大学時代に軽音サークルで出会った。順調に愛を育み、今年で付き合って4年目である。付き合いも長くなるのでそろ…